ファイル16 愛媛県旧北条市高縄山頂での受信


ぷちBBSなどで度々話題になる川内中継局ですが、どのような中継局なのか改めて取材に行ってきました。
取材に行ってきたのが4月上旬、編集しているのが5月中旬・・・。季節感がずれていますがご容赦の程を。

おさらい・・・川内中継局とは?

川内中継局とは、東温市(旧川内町)の塩ヶ森山頂にあるテレビ中継局です。
東温市の旧重信町、旧川内町、及び松山市東部などを放送エリアとしている中継局であり、
松山本局の電波を良好に受信できないエリアにテレビ放送の電波を届ける重要な中継局です。
ちなみに、のっぽの近所にも川内中継局向けのアンテナを建てている家が何件もあります。

中継局のチャンネル割り当て、及び送信出力は以下の通りです。

NHK-G NHK-E RNB EBC ITV EAT 出力
アナログ 57 45 49 53 51 59 10w
デジタル 15 14 19 23 22 18 1w

これを見て”ピン!!!!!”とキタ人は、いやな予感がしているはずです。その予感はだいたいあってます。

それもそのはず、デジタルのチャンネル割り当てが松山市内での標準遠距離受信局である「広島本局」と同じなのです!!

NHK-G NHK-E RNB EBC ITV EAT 出力
川内中継局 15 14 19 23 22 18 1w
NHK-G NHK-E RCC HTV HOME TSS 出力
広島本局 14 15 18 19 22 23 3kw

このように、見事なまでに全てのチャンネルが被っています。県外波潰しとしか言えないような割り振りには呆れ果ててしまいます。
実際、広島デジタル本局の受信にチャレンジされている方の書き込みを見ても、同一チャンネル混信の影響は大きいようで。

テレビがデジタル化されると、放送エリア外へはなるべく電波を洩らさないように(スピルオーバーを防ぐ)という方針らしいので、
総務省はこのような対策を取っているのか!?  と勘ぐりたくなってしまいます。同様の障害は全国で起こっています。

と、前置きはこれくらいにして、本題の川内中継局の現状を見てみましょう。


2009.04.08

今日はぷちBBSで何かと話題に上る「川内中継局」へ行ってみたいと思います。

川内中継局がある塩ヶ森は、桜の名所や夜景ポイントとして有名ですが、テレビの中継局があるということは意外と知られてないようです。
東温市の公式ページはこちら → 

塩ヶ森へ上る2週間ほど前から山頂付近が桜でピンク色に染まっており、夜桜見物用のちょうちんの明かりも見えていました。
なので、平日にも関わらず花見客は多いだろうなと予想し、いつもより早い時間(10時前ですが)に上ることにしました。
しかし、下から見上げてみると上のほうは霞がかかっており、景色はあんまり期待できそうにありませんね・・・。

山頂へ登る途中にある、通称「馬の背」と呼ばれる夜景ポイントです。
ここは広いスペースになっており、松山市内へ車を向けて夜景を楽しむことも
できます。簡易ベンチもあるので昼間来てもよさそうですね。
馬の背から見た東温市内です。やっぱ景色いいわここ。

馬の背から少々登ると管理棟手前駐車場に着きます。ここへクルマを停めて歩いて登るのもいいのですが、結構距離があります。
そこで、管理棟の横から伸びている道を更に頂上を目指して(?)登っていくと、展望広場駐車場に着きます。
クルマで行けるのはここまで。ここから頂上までは遊歩道を5分ほど歩いて登ります。

展望広場駐車場です。桜がきれいですね。
この写真は取材後に撮影したものですが、駐車場に入りきらないくらいの
見物客が押し寄せていました。高齢の方が多いように思えました。
駐車場からの松山市内の風景です。
馬の背より高さがあるだけあって景色はいいですね。最高ですわw
駐車場からは桜並木の遊歩道を登っていきます。 取材に行った日は散り始めだったらしく、桜吹雪がきれいでした。

駐車場から歩くこと5分、中継局のある頂上へ着きます。頂上にも桜が植えてあり、見物の方が何人かいました。
そして、目の前には立派にそびえ立つ川内中継局の姿が! 送受信アンテナがついてる鉄塔は2本でした。

そして、見物客とは到底思えないような作業服姿の方が数人いました。どうやらメンテ業者のようです。
作業責任者の方にいろいろと話を聞くことができました。今日の作業はアンテナやタワーのペンキ塗りだそうです。

まずは松山VHF本局を受信しているVHF受信アンテナから。
ちょっと見にくいですが、画面左下がNHK-E(2ch) 右下がNHK-G(6ch)
上部にあるのがRNB(10ch)の受信アンテナです。
NHK-E(2ch)の受信アンテナ。8エレ水平スタックのようですね。
ここから城山の送信アンテナは直接目視することはできません。
NHK-G(6ch)の受信アンテナ。これも8エレ水平スタックです。
NHK-Eに比べてアンテナの素子の幅が小さいことがお分かりかと思います。
RNB(10ch)の受信アンテナ。今度は下から撮影してみました。
アンテナの位置へは金網などはなく(以前はあったようです。)
立ち入ることができます。いたずらなどはやめましょう。(笑

次に、局舎とアンテナタワーを見てみましょう。

こちらはNHKとRNBを除く民放3社の合同鉄塔。
アンテナの詳しい解説は後ほど。
こちらはRNBとNTTドコモの鉄塔だそうです。
電波のチェックでしょうか、反射器とリフレクタのみの
アンテナが真上に向いています。

高さは25m程はあるでしょうか。下から見ても良く分かりますが、目の前で見るとやはり高いですね〜。
次に、個別のアンテナをチェックしてみました。アンテナの具体的な説明は工事業者の方に教えていただきました。

まずは小さいほうのパラボラアンテナ。松山アナログUHF局の受信用。
アンテナの方角は当然ですが行道山へ向いています。
大きな四角いパラボラアンテナ。この形は初めて見ました。
RNBを除く松山デジタル本局の受信用だそうです。もちろん行道山向け。
ここまで標高があがると山口デジタル本局の影響があるらしく、
この形になったんだとか。同一チャンネルの問題はこんな所にまで・・・。
次に送信アンテナです。表側(松山市内側)からの撮影です。
上段がアナログNHK2波とデジタル5波の送信アンテナ。2段3面の構成です。
下段がアナログ民放3波の送信アンテナ。2段2面の構成です
裏側(旧川内町側)から撮影してみました下向きチルトがかかっています。
これはRNBデジタル用の受信アンテナ。これも初めて見ました。
当然アンテナ面の方角は行道山へ向いています。
こちらはRNB専用アナログ・デジタル共用の送信アンテナ。
他の局とは違い、1段3面の構成です。
RNB専用の局舎です。ペンキで汚れないようにブルーシートで養生。
RNBのロゴが目立ちますね。
NHKと民放3社の合同局舎です。
看板には「日本放送協会 川内テレビ中継放送所」とありました。

このように、川内中継局は建前上、松山市内へ電波を飛ばさないような対策を行ってるようです。
しかし、実際この中継局から発射された電波は松山市内の広範囲に飛んでしまってるんです。


このエリア図は総務省が発表している川内デジタル中継局のエリア図と、それを元にうぐぅさんが推測したアンテナビーム方向の図です。
上にあるように、川内中継局のアンテナ構成は1段ないし2段3面と言う構成なので、建前上は松山市内方面へは電波を出していません。
頂上からアンテナの方向を見ても、この特性図とあまり差はありませんでした。旧重信町向け、旧川内町向け、井内地区向けの3面送信です。
しかし、実際は松山方面は風景写真にあるように障害物は一切なく、非常に開けています。当然ですが松山市内へも電波は飛んで行きます。
この電波が1wとはいえ強力で、微弱な大分や広島本局の電波に混信し、受信不能に陥れてる元凶なのは一目瞭然です。

東温市民にとっては大切な中継局なのでしょうが、我々遠距離受信者にとっては忌まわしい存在でしかないのが残念です。
せめて、松山本局と同一チャンネルに変更し、SFN(Single Frequency Network)で対応していただきたいものです。

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